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佐伯 正克; 中田 正美; 川崎 武志*; 西村 健*; 北澤 孝史*; 竹田 満洲雄*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 270(2), p.379 - 384, 2006/11
被引用回数:3 パーセンタイル:24.11(Chemistry, Analytical)5価と6価のネプツニル化合物の構造と異性体シフトの相関に関する再評価を行った。その結果、5価ネプツニル化合物の異性体シフトと全配位子とネプツニウムとの平均結合距離の間に直線関係が成り立つことを見いだした。6価ネプツニル化合物の異性体シフトとの間にはネプツニル基内のネプツニウムと酸素の間に強い相関があることが判明した。さらに、ネプツニウムへ配位する配位子の電気陰性度の大きさに従い異性体シフトが変化することを示唆した。
正木 信行; 中村 彰夫; 古内 史人*; 日夏 幸雄*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.312 - 317, 2005/02
被引用回数:10 パーセンタイル:42.74(Chemistry, Multidisciplinary)欠陥蛍石型構造とパイロクロア構造の関連を調べるために、パイロクロア組成(ABO)の固溶体2系統(a)Eu(CeZr)O(0x1.0)及び(b)LnEuZrO(Ln=La, Pr, Nd, Sm, Gd, Tb, Dy, Ho, Y, Er, Tm)を調製し、Euメスバウア分光,X線回折を行った。X線回折から、AサイトとBサイトの平均イオン半径比(r/r)が1.465以下のとき、つまり系(a)では0x0.85,系(b)ではLn=Tb-Tmのとき、欠陥蛍石型構造相(DF)が生成し、(r/r)が1.465以上のとき(系(a)では0.9x1,系(b)ではLn=La-Gd)、パイロクロア構造相(P)が生成することが示された。メスバウア分光から得られるEuの異性体シフトは、DF相領域において、両系ともにr/rの増加に従って減少し、DF-P相の境界(r/r1.465)で顕著に低下し、P相領域においてもr/rの増加に従って減少した。Euまわりの酸素配位の歪みを示す4極分子分裂の大きさもP相領域で明らかに増加した。
中田 正美; 北澤 孝史*; 斎藤 孝*; Wang, J.*; 竹田 満洲雄*; 山下 利之; 佐伯 正克
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 76(7), p.1375 - 1378, 2003/07
被引用回数:6 パーセンタイル:30.03(Chemistry, Multidisciplinary)われわれは、ネプツニル(VI)化合物とウラニル(VI)化合物の相違を、水酸化物についてX線回折測定やNpメスバウア分光法を用いて研究をおこなった。その際、新たな-NpO(OH)が合成でき、X線回折測定及びNpメスバウア分光測定をおこなったのでその結果を報告する。-NpO(OH)は、orthorhombic型NpOHOを熱分解することにより得られた。X線回折測定をした結果、Npは8配位を持った-UO(OH)と同構造であることがわかった。Npメスバウア分光測定をした結果、NpO(OH)HO及び-NpO(OH)と異なるスペクトルが得られた。Npメスバウア分光法は、アイソマーシフトや四極子相互作用に関する物性情報とともに、区別が難しい化合物を区別することができる有効な測定法である。
佐伯 正克
JAERI-Review 2002-040, 23 Pages, 2003/01
Krot教授は、当時の先端基礎研究センター・アクチノイドメスバウア分光研究グループの招聘に応じ、1997年1月16日(木曜日)から1997年2月28日(金曜日)までの45日間、日本原子力研究所・東海研究所に滞在した。この間に、多くのメモを作成し、当時のアクチノイドメスバウア分光研究グループに残して下さった。これは、それらのメモをまとめたものである。内容は多岐にわたり、実験室におけるネプツニウムの回収再利用法,滞在期間中に合成した化合物の合成法の記録,それらの化合物からのネプツニウムの回収再利用法,合成しやすいネプツニウム3,6,7価の化合物に関する合成法等である。また、Krot教授が滞在期中に、主に著者と交わした討論内容要約をまとめたものも加えた。
山下 利之; 蔵本 賢一; 中田 正美; 山崎 哲*; 佐藤 剛*; 松井 恒雄*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.585 - 591, 2002/11
蛍石型やパイロクロア型構造の立方晶ZrO化合物は、化学的物理的安定性が高いうえにアクチノイドを自格子中に閉じ込めることができるため、不活性マトリクス燃料や放射性廃棄物体への応用面で注目されている。これらの構造を持つ化合物では、酸素空孔の配列が重要な役割を果たす。アクチノイド酸化物-ZrO固溶体で蛍石型構造を持つ相は安定化ジルコニアと呼ばれ、すべての陽イオン,酸素イオン,酸素空孔はランダムに分布する。一方、パイロクロア構造相においては、酸素空孔の規則配列化が生ずる。本報では、アクチノイド酸化物-ZrO系に関する格子定数や相関係をレビューし、アクチノイドの原子価やイオン半径,酸素空孔配列をもとに格子定数変化やパイロクロア構造層の出現を考察する。また、最近得られた蛍石型(Np, Zr)O固溶体のメスバウア分光結果も考慮する。
正木 信行; 音部 治幹; 中村 彰夫; 原田 大実*; 伊藤 健太郎*; 佐々木 吉慶*; 日夏 幸雄*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.217 - 220, 2002/11
EuMO(0y1.0)(M=Th, U)系について、Euメスバウア分光法を用いて局所構造を調べた。粉末X線回折によると、M=Th系では、y0.5で酸素空格子点(V)が無秩序配置をとる欠陥蛍石型相を、0.5y0.8でVが秩序化したC型相と欠陥蛍石型相を、y0.85の領域でC型相と単斜晶のFuO相となることが示された。この系で、Euの異性体シフトは、Eu固溶率yに従って増加した。Euに対するOの配位数(CN)はCN=8-2yに従って減少するので、Oイオン間の反発力の減少によって、平均Eu-O間距離も減少する。この相関は、酸化物系におけるEuの異性体シフトとEu-O結合距離の経験的相関に従っている。U系において相図はTh系と同様であったが、異性体シフトは変化せずTh系に比べて小さな値をとった。
中田 正美; 正木 信行; 山下 利之
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.426 - 428, 2002/11
メスバウア分光法は、固体については有効な測定手段である。溶液については、Feメスバウア分光法では、溶液を凍結させることにより測定を行っている。本発表では、Npメスバウア分光法をNp(V)を含んだ0.6M硝酸溶液に対して測定を行ったので、その結果を報告する。Np(V)を含んだ0.6M硝酸溶液のメスバウアスペクトルを11Kで1ヶ月間測定した結果、四極子分裂及び磁気分裂を含んだ16本の吸収線が観測された。そのアイソマーシフトは、-17.4(1)mm/sを示した。Npメスバウア分光法のアイソマーシフトは、Npの価数や配位数をよく反映することがわかっている。アイソマーシフト値から、Np(V)は、0.6M硝酸溶液中で、配位数7を取ることがわかった。
筒井 智嗣*; 中田 正美; 那須 三郎*; 本間 徹生*; 常盤 欣文; 青木 大*; Wisniewski, P.*; 芳賀 芳範; 大貫 惇睦
Hyperfine Interactions, 141/142(1-4), p.237 - 242, 2002/06
被引用回数:1 パーセンタイル:8.14(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)多くのウラン化合物についてメスバウア分光測定を行い、電子状態を反映した四極子分裂を観測した。
原田 大実*; 日夏 幸雄*; 正木 信行; 中村 彰夫
Journal of the American Ceramic Society, 85(3), p.647 - 652, 2002/03
1500~1550空気中で作成されたハフニア-ユウロピア固溶体酸化物EuHfO系を粉末X線及びEu-メスバウア分光を用いて研究した。X線の結果は0.20x0.725の広い組成域でフルオライト(螢石)型の固溶体が生成することを示した。この固溶体相はx=0.50近傍(0.45x0.575)ではパイロクロア型の長距離秩序構造を、またこの両側の0.20x0.40,0.60x0.725では無秩序欠陥螢石構造を取ることがわかった。3価ユウロピウム(Eu)のメスバウアスペクトルのアイソマーシフト(IS)の値は、パイロクロア相の生成するx~0.5付近で顕著な極小値を取ることが明らかになった。この結果は、従来から言われているEu-Oボンド結合長とISとの相関関係に照らして、パイロクロア相が最長のEu-Oボンド長を持っていることを示唆する。X線構造解析から得られるこれら固溶体相のEu-Oボンド長に関するデータは、このEu-メスバウア結果を支持する。
三浦 孝之*; 桑野 壽*; 菊地 賢司
鉄と鋼, 87(2), p.31 - 36, 2001/02
原子力発電プラントで使用されるオーステナイトとフェライトが共存する2相ステンレス鋼は、オーステナイト鋼でよく起こる応力腐食割れによるき裂の進展を抑止し、かつ強度と溶接性の向上をもたらすと考えられた。ただ、プラント寿命延長に伴う機械的強度の劣化が注目され、その指標としてメスバウアー分光法によるフィライトの2相分離率が有効であることがわかった。相分離したCrリッチ相の体積分率を内部磁場の変化としてメスバウア法で推定し、さらにその場観察による機械的試験を実施し、時効により脆化したこの材料の破壊の起点を見つけることを試みた。その結果、引張り荷重を加えると、フィライト内にすべり帯が発生し、その結晶粒界近傍にき裂が発生することがわかり、強度劣化の原因を直接特定することができた。
正木 信行; 中田 正美; 筒井 智嗣; 中村 彰夫; 山下 利之
Physica B; Condensed Matter, 281-282, p.256 - 257, 2000/06
被引用回数:4 パーセンタイル:27.84(Physics, Condensed Matter)NpOは25K付近に転移を持つことが、比熱測定によって観測されている。帯磁率測定によっても転移が観測されるが、Npメスバウア分光法による測定では転移に伴う磁気秩序は観測されていない。生成後12年間保存して自己放射線照射を受けたNpO試料について、Npメスバウアスペクトルを測定し、25K付近の転移について調べた。80Kで測定したスペクトルでは、未照射の試料と比べて線幅の大きい左右対称な線型の吸収線が測定された。25K以下で測定したスペクトルでは、線幅がさらに大きくなり、右肩を持つ歪んだ吸収線が観測された。この試料を973Kにおいてアニールすると、25K以下のメスバウア分光測定によっても左右対称のスペクトルが観測された。自己照射による欠陥に起因して、25K付近の転移がメスバウア分光法により明瞭に観測された。
正木 信行; Guillermo, N. R. D.; 音部 治幹; 中村 彰夫; 泉山 ユキ*; 日夏 幸雄*
Advances in Science and Technology, 29, p.1233 - 1240, 2000/00
Eu-メスバウア分光法及び粉末X線回折法を用いて、螢石型酸化物固溶体系EuMO (M=Zr,Ce)(0y1.0)中のEuの周囲の局所(欠陥)構造を明らかにする検討を行った。得られたEuのアイソマーシフト(IS)は、ジルコニア系(M=Zr)ではパイロクロア相の生成するy~0.5近傍で最小値を取ることを見いだした。他方、セリア系(M=Ce)では、それはyとともにスムーズに増加した。結晶学的データに基づき、両系でのこのようなIS挙動の顕著な相違を矛盾なく解釈することのできるモデルを提案した。これらの結果は、同一の所謂「欠陥型螢石型相」においても、両者、すなわち安定化ジルコニア系とドープトセリア系のそれは、構造的にはかなり異なった局所構造を持つことを示している。
中本 忠宏; 中田 正美; 中村 彰夫
Recent Research Developments in Inorganic Chemistry, 2, p.145 - 163, 2000/00
ネプツニル(+1)ギ酸塩錯化合物:(1)(NH)[NpO(OCH)]及び(2)[NpO(OCH)(HO)]の磁気的性質を、磁化測定及びNPメスバウア分光法を用いて調べた。(1)は2-300Kの範囲でキューリーワイス型の常磁性体、(2)は飽和磁化1.23/NPを持つTc=12Kの強磁性体であることを明らかにした。それらのNpメスバウアスペクトルは、(1)が低温で常磁性緩和を示すのに対し、(2)は綺麗に分解した磁気分裂スペクトルを与えた。磁化率及びNpメスバウアスペクトルの測定結果を、これらのネプツニル(+1)錯体に特徴的な一軸性O=Np=0結合に伴うNp5b磁気モーメントのアイジング的な振舞、L-S結合、一軸性の結晶場(配位子)分裂等の項を適切に考慮に入れることにより、初めて理論的に満足にかつ定量的に解析することに成功した。
佐伯 正克; 中田 正美; 中本 忠宏*; 山下 利之; 正木 信行; Krot, N. N.*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 239(2), p.221 - 225, 1999/00
被引用回数:7 パーセンタイル:49.7(Chemistry, Analytical)Np(V)のマロン酸、ギ酸、グリコール酸、フタル酸塩及びマロン酸とギ酸のアンモニアとの複塩を合成し、メスバウア分光法を用いてNpの配位数と異性体シフトの相関を調べた。複塩中のNp周りの酸素配位数は8であることがわかっている。フタル酸塩はわれわれが初めて合成したものであるが、Np周りに酸素が7つ配位していることを見出した。その他の化合物中のNp周りの酸素配位数は7であることが明らかになっている。これらの化合物のメスバウアスペクトルの異性体シフト値は、酸素配位数は7の場合には約-19mm/s付近に集中した。一方、酸素配位数が8の場合にはその値は約-16mm/sとなり、7配位の場合と明らかな違いを示した。これらの結果は、Npの核位置における電荷密度で説明可能であり、配位数と異性体シフト間には明らかな相関があることがわかった。
佐伯 正克; 中田 正美; 中本 忠宏*; 正木 信行; 山下 利之
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.176 - 179, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:39.22(Chemistry, Physical)Np(V)のマロン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸及び安息香酸塩を合成し、Npメスバウア分光法を用いて、Np周りの配位子の状態を化学的に探求した。マロン酸、ギ酸及びグリコール酸塩は構造が調べられており、いずれもNp周りに酸素が7つ配位している。これらの化合物のメスバウアスペクトルは1成分であり、その異性体シフトの値は、-18.6から-18.9mm/sであった。一方、酢酸及び安息香酸塩のスペクトルは2成分からなり、その異性体シフトの値はそれぞれ-19.4と-13.2及び-19.4と-10.8であった。何れの化合物においても2成分の強度比の温度変化は認められず、内部磁場の大きさも異なること等から、酢酸及び安息香酸塩中のNpには2つのサイトが存在し、その1つはNp周りの酸素が7配位であり、もう1つのサイトは8配位であると結論した。
中田 正美; 佐伯 正克; 正木 信行; 筒井 智嗣*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 232(1-2), p.201 - 207, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Chemistry, Analytical)Np及びUメスバウア分光法用線源及び試料容器を開発した。Npメスバウア分光用線源としてAm金属を用いた。輸送上の制限から5個の小さな密封線源を設計した。それらを組み合わせて使用することにより、測定に充分な線量が得られた。Np試料容器は、取り扱い安全上及び液体ヘリウム温度まで測定可能なように、三重の容器を設計した。Uメスバウア分光用線源及び試料容器も同様に開発した。線源として、高純度PuOを用いた。
手塚 慶太郎*; 日夏 幸雄*; 正木 信行; 佐伯 正克
Journal of Solid State Chemistry, 138(2), p.342 - 346, 1998/00
被引用回数:17 パーセンタイル:55.3(Chemistry, Inorganic & Nuclear)層状ペロブスカイト化合物NaLnTiO(Ln=Sm,Eu,Gd)の磁気的性質を調べた。4.5から320Kの温度範囲で、帯磁率測定を行った。室温においてEuメスバウア分光及びGdの電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの測定も行った。NaEuTiOはVan Vleck常磁性を示し、これはスピン軌道相互作用定数=323cmを持つEuイオンの1重項基底状態Fによるものと解析された。NaSmTiOはVan Vleck常磁性を示しNaGdTiOの磁化率はCurie則に従った。NaEuTiOのメスバウアスペクトルは、Euが3価で存在することを示した。NaGdTiOのESRスペクトルから、この化合物中のGdのg値は1.99であることがわかった。磁化率測定とESR測定より、NaGdTiO中のGdイオンは結晶場の影響をほとんど受けていないことが示された。
佐伯 正克; 中田 正美; 山下 利之; 中本 忠宏*; Krot, N. N.*
Radiochimica Acta, 80(2), p.89 - 94, 1998/00
幾つかのフタル酸ネプツニル(V)を初めて合成し、その性質を調べた。濃い5価ネブツニル溶液から室温で生じる化合物は7水塩であり、368Kのより低濃度の溶液からは6水塩が得られた。前者は無定型化合物であり、水に対する溶解度が大きい。後者は、化合物の重量変化及び示差熱変化の結果から、367、423、463Kで吸熱的に水分子を放出し、1水塩に変化する。この1水塩は空気中に放置すると4水塩へと変化する。6水塩の固相電子吸光分析及び赤外吸収スペクトルの結果から、構造中にNpO-NpO相互作用が存在し、NpOは互いに2座配位子として作用していることが示唆された。メスバウアスペクトル測定結果からは、ネプツニウム周りの酸素配位数は7であること、NpOは互いに2座配位子として作用し2次元ネットワークを構成している可能性が高いことが明らかになった。
長 明彦; 小泉 光生; 関根 俊明; 山本 洋*; 村松 久和*; 大矢 進*; 永井 良三*
「不安定核の理工学及び核計測法 (II)」に関する専門研究会報告書, 0, p.28 - 30, 1997/00
原研高崎AVFサイクロトロンに設置されたオンライン同位体分離器(ISOL)ではサイクロトロンからの一次ビームで生成した核反応生成物や購入したXe放射性ガスを用いた不安定核種のビームを様々な実験に供している。オンライン実験では、核反応生成物をISOLでイオン化・分離した後、-核分光測定を行っているほか、Si単結晶上で微小な角度で散乱させることで偏極させる技術の開発で偏極の現象及び原子核の電磁気モーメントの研究を行っている。Xe放射性ガスのイオン注入は、原子核の有効電荷半径の研究を目的としたメスバウア分光実験用試料で実施した。このほかに医学利用の分野で冠動脈狭窄予防に用いる金属製ステントへのイオン注入を計画している。
中田 正美; 正木 信行; 佐伯 正克; 荒殿 保幸; 池田 裕二郎; 遠藤 和豊*
SIF Conf. Proc., Vol. 50 (ICAME-95), 0, p.99 - 102, 1996/00
セレン酸鉄(II)に14MeV中性子照射をおこない、鉄(II)が鉄(III)に変化した量を、メスバウア分光法で測定した。その結果セレン酸鉄(II)の線照射による結果及びCoでラベルしたセレン酸コバルト(II)の発光法による結果と比較検討した。14MeV中性子照射後の鉄(III)の生成量は、1水塩の方が5水塩より多いことが分かった。これは、線照射とCoのEC壊変にともなう鉄(III)の生成量が5水塩の方が1水塩より多いという結果と大きな違いを示している。セレン酸鉄(II)5水塩の構造は、鉄原子が4個の水分子に囲まれている。14MeV中性子照射では、核反応で生成した荷電粒子などが、鉄へおよぼす酸化作用をその水分子が阻害しているためと考えられる。